近年、中央省庁が力を入れている官民リボルビングドア。
特にデジタル庁で注目を集めました。
今回はこの官民リボルビングドアについて詳しく解説します。制度の概要から活かすコツまで――必見です!
1. 官民リボルビングドアとは?
官民リボルビングドアとは、官公庁と民間企業を行き来する仕組みのことです。
特にデジタル庁の発足時に話題になりました。デジタル庁では、400人を超える民間企業出身者が働いています。特別職であるデジタル監にも、民間出身者が任命されました。
2. 国家公務員の仕事
まず、国家公務員がどのような人たちなのかを見ていきましょう。
大きく分けて以下の3つの職種があります:
- 総合職
- 一般職
- 専門職
(1)総合職
いわゆるキャリア官僚と呼ばれる人たちで、東京大学出身者が大半を占めています。
主に政策立案を担っており、法律の制定を通じて制度を作り上げていきます。中でも法学部出身者が多い傾向にあります。
(2)一般職
総合職が作った制度を実際に運用する立場です。
霞が関で採用される人もいれば、地方支分部局で働く人も多くいます。
(3)専門職
専門的なスキルや資格を持つ職員です。
例)
- 外務専門職(外交)
- 海上保安官(海の安全)
3. 中央省庁の課題点

「ブラック霞が関」とも言われる中央省庁ですが、実際はどうなのでしょうか?
(1)超過勤務
国家公務員には以下のような勤務時間の上限が設定されています:
- 月100時間未満
- 年720時間以下
- 2~6月の平均80時間以下
- 月45時間超は年6回まで
しかし、令和5年度では、**27.9%**の職員がこの上限を超えた勤務を命じられています。
2025年8月、農林水産省の広報動画で22時退勤の職員が映り、視聴者から心配の声もあがりました。
(2)給与
民間企業と比較し大きく劣るわけではありませんが、年功序列が色濃く残っており、若手が実力を発揮しにくい構造です。
(3)キャリア形成
国家公務員は異動が多く、多様な業務を経験します。
その一方で、やりたくない仕事や単身赴任を強いられることも。
人事院の調査では、以下のような回答がありました:
- 柔軟な働き方に対する否定的回答が多い
- スキルアップ機会に対する肯定的回答が少ない
(4)採用試験
総合職は最難関の試験であり、2023年度の倍率は9.5倍。試験合格後も官庁訪問によるマッチングが必要で、合格しても就職できないケースもあります。
4. 民間企業が公務員を採用する利点と懸念事項

(1)利点
ア. 優秀な人材の確保
- 東大・京大出身者が多数
- モチベーションの高い人材が多い
イ. 人脈の強化
- 行政とのスムーズな意思疎通が可能
- 官庁の内部事情に詳しい人材は貴重
(2)懸念事項
ア. 仕事観の違い
公務員は「公益」のために働きます。
一方、民間は「成果」「数字」で評価。このギャップをどう埋めるかが課題です。
イ. 専門性の欠如
ゼネラリストが多いため、即戦力にはなりにくい場合も。
5. 官公庁が民間人材を採用するメリット
(1)デジタル化の推進
官公庁ではペーパーレス化やシステム化が遅れています。
民間のデジタル人材が大きな鍵となっています。
(2)人材の多様化
- 同質性の高い組織からの脱却
- 多様性の確保で、情勢変化にも柔軟に対応可能
(3)優秀な人材の確保
- 国家公務員試験の志願者数は減少傾向
- 早期退職者も増加中(4人に1人が10年以内に退職)
- 中途採用で民間人材の活用が重要に
6. 民間企業が取るべき対応

民間企業に求められるのは、「公務員よりも働きやすく、魅力的な環境」の提示です。
(1)公平な人事評価
- 実力主義・成果報酬をしっかりアピール
- 若手でも評価される体制を整える
(2)ホワイトな労働環境
- 公務員の福利厚生は強い ⇒ 上回る条件を提示
- 「制度がある」だけでなく、実際に使われていることが重要
(3)フラットな雰囲気
- 中途入社でも活躍できる文化を醸成
- 官庁の「稟議文化」や「前例踏襲」とは異なる柔軟性をアピール
7. 省庁の中途採用状況
国家公務員に中途でなるルートは主に次の3つです。
(1)経験者採用試験
- 係長級以上を対象
- 総務省、外務省、農水省などで実施
- 「省庁合同」試験ではA区分(総合職)、B区分(一般職)あり
(2)社会人試験
- 係員級の職員を採用
- 法務教官、入国警備官などの専門職も含まれる
(3)各府省の公募
- 常勤・非常勤、総合職相当・一般職相当など幅広い
- 資格が求められる専門性の高い職務もあり
8. まとめ
官民リボルビングドアは、まだ発展途上の仕組みですが、今後ますます活発化が見込まれます。
一方で、公務員人気が回復する兆しもあるため、いまこそ優秀な人材を引き抜くチャンス。
この仕組みを上手く活用し、企業の成長につなげていきましょう。
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