令和6年度日本・韓国青年親善交流事業に参加して

運営コラム

令和6年度日本・韓国青年親善交流事業に渉外(通訳)として参加した。事業を通して非常に学びの多い経験ができたので、まとめとして書きたい。

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出発前研修

事業について

日本・韓国青年親善交流事業は、1984年の日韓両国首脳会談における共同声明の趣旨を踏まえて、1985年の日韓国交正常化20周年を契機に、1987年から両国政府の共同事業として約40年実施している事業だ。(令和6年度は、35回目の実施)

プログラムは、「韓国青年の日本招へい」(韓国の青年が日本に来ること)と、「日本青年の韓国派遣」で構成され、ディスカッションなどを通して日韓両国青年の相互理解と友好を促進し、日本青年の国際的視野を広げ、国際協力の精神を養い、国際協力の実践力を向上させることにで、国際社会で指導性の発揮や、社会貢献活動に寄与する青年を育成することを目的としている。
※内閣府HPより

内閣府ホームページ – 内閣府内閣府のホームページです。内閣府の組織、政策、報道発表資料、統計・調査などに関する情報を掲載しています。www.cao.go.jp

参加の背景

この事業についてはじめて知ったのは、令和6年(2024年)の5月末ごろ、韓国学生の日本就職支援で一緒に仕事をしている方からの紹介だった。概要を共有いただいて、自分としてもすごく興味のある内容だったので、すぐに応募を決めた。

自分自身も中学生の時から同様のプログラムに3度参加し、韓国に興味を持った。「日韓親善島根少年の翼」(公益財団法人しまね国際センター)、これをきっかけに、韓国語学習を開始し大学で韓国語の授業を履修、その後延世大学校韓国語学堂に留学した。

外国語の学習、文化体験、ホームステイ等の経験を通して、国際的な視点、協調性、リーダーシップ、他者貢献の精神を養うことができたと感じるし、人生にとって大きなプラスの影響を得ることができたと思っている。この事業参加を通して、今度は自分自身が次の世代に貢献したいと思ったことが一番の動機だ。

必要書類の提出と面接を経て、参加させていただけることになった。

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日程概要

この事業の主な日程は、8月の事前研修、オンライン研修/自主研修、11月の出発前研修/派遣国活動/帰国後研修、2月の事業報告会である。ここでは主に派遣国活動について書きたいと思う。

Day1 11/22(金)

・羽田→金浦へ移動
・派遣国活動のオリエンテーション

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パスポート3種類(赤・青・緑)
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羽田→金浦
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機内から

Day2 11/23(土)

・シフン市連携ホームビジット

11/23(現地2日目)は、京畿道のシフン市を訪問し、連携ホームビジットプログラムが実施された。シフン市はソウルから1時間ほどのところに位置し、自動車部品の製造工場などがあり、近年人口が増加している都市である。

現地到着後、歓迎式にて青年たちはお世話になるホストファミリーと対面し、その後家族と一緒に昼食をとり、午後の時間を家族の一員として過ごした。

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ホームビジット先の家族と集合写真
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ボート体験①
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ボート体験②
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ボート体験③
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シフン市での昼食

Day3 11/24(日)

・国際交流事業参加者との室内交流会
・ソウルグループツアー

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時間ができたので、通っていた延世大学校語学堂に行ってみた
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グループツアー参加メンバーと

Day4 11/25(月)

・女性家族部表敬訪問
・国立民族博物館
・在大韓民国日本国大使館公報文化院表敬訪問

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女性家族部表敬訪問
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通訳の様子
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局長や関係者の方々と昼食会
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在大韓民国日本国大使館公報文化院表敬訪問
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講義の様子

Day5 11/26(火)

・韓国外国語大学校日本語学科講義
・ソウル→平昌
・国立平昌ユースセンター(青少年修練院)表敬訪問
・平昌→カンヌン
・アルテミュージアム

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韓国外国語大学校
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韓国外国語大学での講義

11/26(現地5日目)には、国立平昌青少年修練院を訪問し、現地高校生と室内アクティビティを体験した。翌27日(現地6日目)は、カンウォンド青少年活動振興センター連携交流会が開かれ、現地の高校生とそれぞれの文化について学び、食事を共にするなどお互いについて知る時間を持つことができた。

Day2のシフン市、およびDay5のこれらの時間は、参加青年にとって現地の方々と直接会話し、文化や習慣に直接に触れるまたとない機会になったと思う。

また、日本参加青年との交流を通し韓国の方々にも、日本を知っていただき関心を高めることにつながったと思う。日本・韓国双方の参加者、関係者にとって大変貴重な時間だった。

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サービスエリアのキムチチゲ
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国立平昌青少年修練院での集合写真
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国立平昌青少年修練院(ユースセンター)
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修練院のアスレチック①
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修練院のアスレチック②
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登りました(一番左)
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アルテミュージアム
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展示の様子①
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展示の様子②
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映えた写真は撮れなかった
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アルテミュージアムの龍(난 용띠)
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いい感じ
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スカイベイホテル@カンヌン
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平昌オリンピック OFFICIAL ACCOMODATION
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アイス自販機
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カンヌンの夜景
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スカイベイホテル@カンヌンの屋上プール(23時ごろ)

Day6 11/27(水)

・カンウォンド青少年活動振興センター連携交流会
・カンヌン→ソウル

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カンヌンでの文化交流の様子
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カンヌンはスンドゥブが有名
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烏竹軒(オジュッコン)、夢竜室(モンリョンシル)
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文成祠(ムンソンサ)
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江陵貨幣展示館
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カンヌンからの東海/日本海
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カンヌンの写真スポット
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カンヌンのオブジェ
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カンヌン駅
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KTX(カンヌン→ソウル)
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カンヌンからソウルに向かうKTX車内
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ソウル駅前 ワン・インターナショナル本社ビル(ミセンより)

Day7 11/28(木)

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移動のバス車内

・ソウル→ヨンチョン
・韓半島統一未来センター
・ヨンチョン→ソウル
・ソウル植物園
・日韓青少年交流会 オリエンテーション、開会式、レクリエーション

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韓半島統一未来センター
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統一館
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赤:現在の休戦ライン 青:38度線
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38度線の真上①
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38度線の真上②
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KTX統一
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統一韓国のパスポート
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KTXでアジアやヨーロッパまで行ける
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KTX統一の乗り場前で
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昼食でカムジャタン
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ユッノリ(윷놀이)

Day8 11/29(金)

・韓国青年とのディスカッション
・文化交流の夕べ

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韓国青年とのディスカッションの様子
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ディスカッションテーブル

11/29(現地8日目)には、韓国青年たちとディスカッションが行われた。事前研修で決めた5つのテーマに沿って、それぞれのチームで深い議論ができたと思う。

私は教育について、「両国の教育の傾向を踏まえた上で、経済的な負担の緩和や幸福と学歴の関係性について考える。」というテーマのグループの通訳を行った。

日本・韓国で共通の問題意識を持っているものの、考え方等はそれぞれ異なることや、直接話すことで相手の熱量を感じるなど、対面でなければわからない気づきがあったのではないかと思う。

何らかの解決策を考えるということも大切ではあるが、日韓の青年が一つのテーマに向き合い、お互いの意見を伝え、共に向き合っていこうという時間を持てたことが、今後の長期的な日韓関係にプラスになるのではないかと考える。

Day9 11/30(土)

・評価会
・日韓青少年交流会 閉会式
・金浦→羽田

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日本青年・韓国青年全員での集合写真①
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日本青年・韓国青年全員での集合写真②
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日韓 通訳・コーディネーターチーム

学び

自分自身の、この事業を通しての学びについて書いてみたいと思う。

まずひとつ目は、通訳としての能力向上だ。通訳翻訳としての経験はあるが、前回から時間が空いていたし、今回は日本国の代表派遣団の通訳ということで、プレッシャーを感じることも多々あった。

中でも各所への表敬訪問時の挨拶では、臨機応変さが求めれることも多く、大変さもあったが大きなやりがいも感じることができた。

通訳時に特に気を付けていたのは、言葉の選び方だ。日本語と韓国語、言語が違うので当たり前のことではあるが、全てが一対一で対応する単語や表現があるわけではない。

その中で、この状況で最も適切言葉や表現は何か、なぜ発言者はその言葉や表現を使ったのか、言葉の裏にある背景や意図も汲み取った形で伝えるよう心掛けた。

また時間的に余裕があれば、特に参加青年間の会話等では、各国の文化的・歴史的背景の説明も加えながら通訳を行った。私はこの事業で、参加青年の成長をサポートするという目標を持っていた。微力だが、自身の行動が参加青年の国際交流、またそれぞれの成長の一助となっていれば幸いだ。

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女性家族部での通訳

ふたつ目は、東アジア・世界という視点で考える重要性を改めて感じることができたことだ。学生時代から海外に興味を持ち、日常の仕事においても海外と関わることが多かったこと、また直近では韓国学生の日本就職支援(KOREC日本就職スタディ)に関わる業務も行っていたことから、グローバルや日本・韓国という枠組みで考えられえいると思っていた。

今回の訪韓中に、韓半島統一未来センター(Day7)、在大韓民国日本国大使館公報文化院(Day4)を訪問する機会があった。

韓半島統一未来センターでは、韓半島の統一が韓半島だけではなく、世界情勢の安定にも寄与するというお話を伺った。

한반도통일미래센터한반도통일미래센터 홈페이지 입니다.unifuture.unikorea.go.kr

また在大韓民国日本国大使館公報文化院では「日本と韓国」ではなく、「世界を盛り上げるために、東アジアという地域でなにができるか考える」というお話を伺った。

https://www.kr.emb-japan.go.jp/itpr_ja/info_history.html

https://www.instagram.com/j.munwhawon?utm_source=ig_web_button_share_sheet&igsh=ZDNlZDc0MzIxNw==

これらの訪問を通して感じたことは、自分は広い視点で考えていると思っていただけで、実は「日本と韓国」という2国間のみのある意味閉じた中で思考をしていたのではないかということだ。自分の中では、かなり衝撃的だった。

日本・韓国という国の単位で考えることも大事だが、それを越えて東アジア・世界という視点で俯瞰することで、目の前の出来事についても解像度が上がり、別の視点を持つことができるという学びを得た。

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在大韓民国日本国大使館公報文化院での講義

今後取り組みたいこと

参加した日本青年たちにとって、今回の事業がそれぞれの人生の中での、何らかの変化のきっかけとなってくれればとてもうれしい。

韓国青年との出会いはもちろん、この事業での出会いや経験した出来事が、それぞれの人生を豊かにするような相互作用が生まれると、改めてだがとてもうれしく思う。

自分自身もこの事業への参加をきかっけに、国際交流や日本と海外とをつなぐことが好きなのだと、改めて実感した。今回得た学びを生かして、活動を続けていきたい。

ひとつ目に、国際交流やイベントなどに積極的に参加していきたい。在大韓民国日本国大使館公報文化院で様々なイベントの情報をお聞きしながら、「自分も関わっていきたい」という気持ちになったことを鮮明に覚えている。

自分自身がなぜそのような感情を抱いたのか、改めて自身の経験をふり返り、原体験について考えていきたいと思う。また同時に、まずは自分ができる範囲で関わっていきたいと思っている。

ふたつ目に、普段関わっている仕事においても韓国や海外関連の事業を拡げていきた。現在は韓国学生向けの就職支援等を行っているが、これらを通して民間レベルでの交流を加速させ、日本・韓国両国の発展、また東アジアの発展に寄与したい。

小さなことではあるが、自分の活動が人材育成、国際交流等の一助になれば、とてもうれしいことだと思う。

最後に

韓国派遣期間中は、日々様々な確認事項や調整、また想定外の出来事が発生したが、団長、両副団長、もう1名の渉外と力を合わせ乗り越えることができた。

また自身も成長できたと思う。力不足で至らない部分も多々あったと思うが、皆さんに支えていただけたおかげで乗り越えることができた。

また参加青年たちも協力的で、日に日に成長していく姿が非常に頼もしかった。この事業は終了するが、我々のスローガン「未来へ出発!같이 가자!」の通り、この経験を出発点として一緒に明るい未来を築いていけるようそれぞれの活動を継続してくれるとうれしいし、またどこかで一緒に活動できたらと思う。

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みんなから寄せ書きもらいました!

最後に、内閣府、青少年国際交流推進センター、韓国女性家族部、KYWA、現地コーディネーター、韓国側通訳2名、バスの運転手さん、各関係者・関係団体の皆様、本事業実施にご尽力いただき支えてくださったすべての方に厚く御礼を申し上げる。

また普段から支えてくれている家族にも、改めて感謝を伝えたい。

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帰国後研修最終日のランチ
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帰国後研修

※この記事は、2025年1月15日に公開した内容を再掲したものです
https://note.com/yuki_woody21/n/n73950ab5c59e

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